今さら聞けない賃貸物件の間取り3

 

昭和バブル期の遺産「1R」マンション!

バストイレ独立でなきゃ!といっても
今でも都心では膨大な数の3点ユニット『1R』タイプが稼働中なのです。


シングルタイプの世界も、ただネットを見ているだけでは理解不能の要素が沢山沢山あります。

賃貸物件の間取りとタイプについて取上げています。

■2Kから2DKそして2LDKへ ファミリータイプは日本の家族の歴史そのもの >>

■現代的な間取りの「○LDK」とは >>

③シングルタイプの歴史① 「1R」と「1K」そして 二人のための 「1DK」 >>

④シングルタイプ編② 昭和の高度成長期を支えた東京の「下宿」暮らし >>

■ シングルタイプ「1K」 と 昔の「1R」の違い

シングルタイプとして現在一般的な「1K」と、
         バブル期の偉大な産物とも言える「1R」タイプとの違いは
   単に間取り上では、
        個室とキッチンがセパレートしているかどうかですが、


      賃貸物件は常に時代を反映したものですから、その時代背景が異なります。
   時代的には
  主に70年代~80年代の「1R」と
       90年代~シングルタイプも主流となった「1K」とも言えます。

 要は時代の変化と賃貸需要に合わせて、
         トイレ・バス独立!を目指して
           単純に「1K」へと進化したとも言えると思います。

  バストイレ独立の要望が高まり、「1K」となったとも言えると思います。


ネット上では、
  バブル期の「1R」でも、「1K」と表記されている場合もあります。


  ■↓「1R」として典型的な間取り
典型的な「1R」間取り
■↓「1K」間取りの一例。キッチンが広めの物件は「1R」と比べて広さの違いは一目瞭然!
※浴室の広さは同じ0.7号坪だから基準にして見ると分かり易いです。

典型的な「1K」の間取り

■ 「1R」はバブル時代の歴史的遺産!

今思えばバブル期も実に昭和的だった!

    いわゆる「1R」とは主にバブル期に大量に建設された間取りです。

1Rの間取りの表記は、
ドアを開けて全てが見渡せる「ひとつの部屋」になっているので「1Room」。
略式で「1R」としています。


    しかし、これこそが今も都心で圧倒的な部屋数を誇る、
      いわゆる3点ユニット式「バストイレ同室」の1Rであり
         70年代後期~80’年代に大量に供給された
               専有面積17㎡くらいまでの部屋を指します。

    
 そしてこの「1R」こそ、
      ひとり暮らしでも自室に専用のトイレとシャワーが付いている
                    日本で初めてのシングルタイプなのです!


    ようやく自室に専用トイレ&シャワーは付きましたが、
           この時代には、まだまだ自室に洗濯機を置く場所などありません。
                                   コインランドリー全盛期な時代です。

 それでも当時、シングルタイプとしてはとても豪華なイメージがありました。
                   何故って?
    
    これ以上のシングルタイプというものが存在しなかったので・・・。

■ 「1R」が全盛だった頃の時代とは?

昭和の1DKはファfミリータイプ?

昭和50年代生まれ以降の方は、バブル期というと、景気が良くて良かったんだろうなあ?
  と思ってる方もいらっしゃいますが、そんな事もなかったと思います。
  
     当時の若者にとっては今より辛い時代であった一面もありました。

    なんたって、銀座コマツ周辺の土地価格、タバコ1箱分の面積が!
             時価相場1億円!だった時代であり、

                      そして
     東京都心の土地価格が地球で一番高かったという時代です。


              賃貸の家賃も土地価格に反映されるわけですから、
 当時の賃貸物件の家賃は今から考えるととんでも無い家賃だったのです。

                          しかし、
          時代としては、男子は20歳をすぎたら実家から社会に出て、
         自活をするモノという昭和的な慣習が当たり前の時代だったんです。

        もちろん、地方労働者も海外出稼ぎ就労者も景気が良い日本の都会を目指して
                   東京へ溢れだして来るという時代でした。
          
        私の記憶では東京都心に実家がある男子でさえひとり暮らしをしていました。

          前述のとおり、バカバカしい程に不動産が高い時代でしたから、
   
   今は毛嫌いされてしまいがちなバストイレ同室3点式ユニットバスのお部屋も、
    当時の20代駆け出しの若者には、
           とても手が出ない高級マンションだったのです。





そして、
1Rは需要に対応すべく70’年代の後半から~90年代初めまでに首都圏にも東京近郊にも「1R」マンション・アパートが後先考えずに建設されて行きました。

今となっては、魅力を感じない1Rかもしれませんが、
当時はシングルタイプとしては。これ以上の仕様の物件が存在しなかったので              とても豪華で贅沢に見えたのです。
       
       そしてもちろん、家賃もそれなりに高かった!のです。
          
           それまでは考えられなかった設備として、
            自室に専用のトイレ&シャワー付だし、
          エアコン付きだしと当時としては、都心の1Rは
    とても20代前半の若者には手が出無い高級物件だったのです。


       ※今なら、6万~7万程度で借りられる3点ユニットの都心の「1R」は当時は
         専有面積15㎡でも家賃10万とか12万円~だったと思います。

        なので、都心へ出て仕事をする健全な若い人は郊外の安い1Rを目指すか、
  もしくは後述の都心のバストイレ無しの下宿タイプのアパートを目指すしかなかったののです。


           バブル期といっても初任給は今よりずっと安かったんです。
            余談ですが、景気が良すぎる分就労状況は劣悪であり、
            どの会社も今で言うところのブラックが当たり前だったのです。

      そして 当時(80年代初め)、バブル期と、もてはやされていても、
          大学生や就職して初めてのひとり暮らしの若者は、
    まず最初は「トイレバス無し」物件(もちろんエアコンなども無い)の
                   下宿タイプの物件に入居していたのです。
バブル期前の昭和のシングルタイプ

【時代背景①】
バブル期より前のシングルタイプ のとおり、バブル期 ”1R” より前のシングルタイプというと、バストイレが同室というどころか、「バストイレ無し」だったのです。

それらは”長屋”形式やアパートタイプで賃貸物件というよりも”下宿”と呼ばれていた時代の産物です。その多くは”チョンガー”(単身者)向けで、トイレは全世帯共同で1つ、風呂は銭湯通いという時代だったのです。
※もちろん洗濯機置き場もナシ、エアコンもナシという時代でした。

【広い「1R」もある】
「1R」間取り表記そのものは物件の「広さ」を表しているのものではありません。
間取りとしては「1R」でも倉庫のようなドバっと広い30㎡や40㎡の「1R」もあります。
(※これらも同様にバブル期に、高額所得者向けに造られたシングルタイプですが、バストイレは同室の3点ユニットタイプです。)

余談ですが、「1R」以外のファミリータイプを探す場合でもバストイレ独立でお願いします!という方がたまにいらっしゃいますが、基本的にバストイレ同室3点ユニットの仕様の賃貸物件はこの「1R」がメインです。

■ 二人のための「1DK」


昭和の1DKはファfミリータイプ?

「1DK」はタタミが多いってほんと?⇒本当です。
1DKは畳部屋が多いんです!
       「1R」が高級物件であったバブル期当時、
       それはそれは、とんでもなく土地価格が高騰していた時代、


                   とても高かった「2DK」!
     同じ時期にファミリータイプでは東京郊外の沿線の木造の2DKアパート、
         オール和室でバランス釜タイプの浴室で、洗濯機置場がベランダ!
                        という部屋でも賃料:12万円という時代でした!

【1DK誕生秘話】1970年代の”DKブーム”第2弾!

またまた古い話で申し訳ありませんが、バブル期より少しまえ1970年代後半~、超好景気に向かう時代の最中、若い二人が世帯を持とうとする新婚生活者向けに建てられたのが、「1DK」の始まりだと思います。

しかし、前述のとおりバブル期には都心近辺では「2DK」は庶民には超!高嶺の花だったのです。
そこで登場してきたのが、夫婦などの二人暮らし向けに「1DK」間取りとした「二人の世界」が誕生しました。

二人の世界  二人の世界

「Gメン75!」や「太陽にほえろ!」などで常に登場するので、時はだいたい1975年頃だと思います。
そんなわけもあり、現在も多く現役賃貸物件として稼動している「1DK」物件の中には結構古くて、元はタタミ部屋だったモノも多いハズです。
バブル期には都心ではとても家賃が高くて若い二人には、とてもとても「2DK」などで暮らす事が出来なかったので特に新婚さんの需要が多かったと言われています。

ですが、「1DK」は実は1970年代の庶民感覚としては、新婚二人暮らしには、これくらいの広さが適当だという時代でもあったのです。
「2DK」というのは、当時まだ賃貸物件としては贅沢な感じがあり、たぶん現在の新婚さんが、都心で3LDKを借りるような感覚だったのかもしれません。

ともかく、そんな「1DK」のおかげで、普通の若いカップルも「二人の世界」を始めることができたのです。
だから、昭和~平成初期に建てられた「1DK」はそのほとんどがファミリー仕様としてタタミ仕様で造られたのです。
もちろん贅沢にも一人暮らしでもOKでしたが、そんな贅沢な人はあまり居なかったそうです。

この「1DK」タイプの部屋は、好景気時代、故郷から出て来て直ぐにでも職に就ける新宿のバーテン見習いやホール係などで働く社会の底辺的な群像の”生き様”として、刑事ドラマで数多く登場しています。

大抵は、刑事の張り込み現場(犯人の棲家)な扱いで、お馴染みの「昭和的アパートのテツ階段」の下で身を潜めている刑事などのシーンが想い出されます。

そうそう、おなじみのシナリオ!ホシ(犯人)は必ず「情婦(オンナ)」のところへ戻って来るという脚本パターンです。
ちなみに当時の刑事ドラマでは、犯人が主人公であり、その犯人像も現在とは全く違って
悪いヤツ扱いではなくて、”社会の犠牲となった人々”として愛情をもって描かれていたと思います。

【1DKの現在】
現在でも純粋に「1DK」という間取りの物件は意外と少ないと思います。
当時に建てられた物件も現在はシングルタイプとして稼働するように洋室化されたモノがほとんどだと思いますが、物件によっては、まだまだ和室の匂いがプンプンしている部屋も多いのでは?と思います。

「1DK」という間取りも実は「2DK」「1R」と同じように、その多くが昭和の産物だったのです。

一人暮らしを始めたくてネットで初めて探す時、素人発想では、
1Rは論外!1Kではちょっと狭いから、「1DK」がイイ!!と単純に考える人も居るようですが、
残念ながらそんな具合にはいきません。
それはファミリータイプの話と同じであり、1Kより安い2Kの話と同じことになります。



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